素晴らしきかな、人生

FEEL

2016年/アメリカ合衆国/97分/監督:デヴィッド・フランケル/脚本:アラン・ローブ/主演:ウィル・スミス

とあるところでオススメされていて、種火周回しながら観た映画です。

あらすじ

やり手の実業家である男性が、6歳の実子の死をきっかけに2年以上仕事ができなくなり、会社の傾きをなんとかしたい同僚たちによって一風変わった対策を講じられる……というあらすじ。

対策というのは、彼が「愛」「時間」「死」にそれぞれ失望の手紙を書いていたため、それをもとに、それぞれの概念を擬人化させた存在を俳優さんたちに頼んで演じてもらい、彼と接触させるというもの。
俳優さんたちの存在は他の人の目に見えないものとし、彼がひとりで話しているのを撮影して加工(俳優さんを消す)、責任能力が無いと示すのを目的としています。

俳優さんは3人、同僚さんも3人、対になって、当事者の彼だけでなく、同僚さんそれぞれが抱えている問題にもスポットライトが当たります。
また、当事者の彼は平行して子供を亡くした親たちが集う会に参加し、その主催者の女性との交流も深めていく。

みたいな感じですね。

感想

概念の擬人化が成したこと

コンパクトにまとまっていて、同僚さんそれぞれの問題に関してはわりとサラッと描かれている印象でした。

「愛」の女優さんと対になる一人の男性は不倫の末に離婚し、子どもから嫌われている(お母さんがすりこんだんだろうなぁ)。
元妻はともかく、子どものことは愛しているから、その気持ちを伝えて、仲直りする。

「死」の女優さんと対になるもう一人の男性は、末期の病に侵されている。
誰にも話すことができなかったけど、子どもを産んだばかりの妻に共有する。

「時間」の俳優さんと対になる一人の女性は、仕事にまい進するあまり、婚期を逃し、子どもを産みにくい年になった。
自分で子どもを産む以外の方法でも、子どもを育てる方法を模索し始める。

これが、それぞれ対となる俳優さんたちとの交流を経て、叶えられるんですけどね。
この俳優さんたちは最初、確かに依頼されてそれぞれの概念を演じるし、同僚さんたちの前では演じていない一人の人間として接しているように見えるんです。
でも最終的には……「もしかして概念の擬人化、本当にされているのでは?」というふうな描写に変わります。

同僚さんたちが抱えている問題がピッタリその概念に当てはまるんだよねぇ。
それに、言っていることも、本当にその概念が言いそうなことなんですよ。
当事者の彼、ハワードに伝えていることも、同僚さんたちに言っていることも。

同僚さんたちに共通していたのは、「諦め」と「決めつけ」だと思います。
ハワードもなのかな。

サラッと描かれてはいたけど、みんな、「諦めない」「思い込みを手放す」という方向に動き、人生を変えます。
「自分が本当はどうしたいのか」を理解し、そこに向かう方法を模索すれば、人生は開ける。
そういうことを描きたかったのかなって思います。

ああ、「愛」担当の女優さんがオーディションのときに言っていた「殻を脱いで、人生を変えよう」(だったかな?)は、「諦めと思い込みを手放して、人生を変えよう」っていうテーマの提示だったんですね。

ハワードと主催者

子どもを亡くした親たちの集いを主催していた人と、ハワードが交流するんだけど、巧妙に、その主催者の女性が誰なのかぼかされながら進みます。
私は途中までまったく気づいてませんでした。
ハワードが傷ついているのもあって、普通じゃない行動もとるよね、というのがミスリードになってた気がする。

でも、主催者さんは元奥さんで。
ハワードはずっと、元奥さんと、自分たちの子どもの死について、他人行儀な感じで話していたんですよ。

彼は、「愛」「時間」「死」との、それから、元奥さんとの対話を通じて、子供の死を受け入れる。
彼は映画では2年も沈黙していたとは思えないほどサクッと回復しますけど、たぶんこの2年も、無為ではなかったんだと思うんですよね。結局、「時間」は作用していたんじゃないかなと感じます。

ハワードが受け入れた瞬間は、グッときました。
ずっと「あなたの子どもの名前は?」って元奥さんから訊かれて、彼は答えられなかったんですよね。言うことが、悲しみや痛みと直結しすぎていて。

でもその名前を口に出せたとき、これまでのすべての体験から作っていたパズルが一気に組み上がって、彼の心がほどけた。

印象的だったこと

愛はすべてに宿る

「愛」担当の女優さんのセリフ。
愛は受け取ったり与えたりするのではなく、すべてのものに内包されている。
私も、あなたも、すでにもっている。愛でできている。
これは私の考えそのものです。

死があるから時間に価値がある

「死」担当の女優さんがポロっと言っていたこと。
そうだよね。限りがあるから、時間を大事にするという気持ちが生まれる。

時間は平等に豊かに与えられている

「時間」担当の俳優さんのセリフ。
「みんな時間が足りないとか俺に文句ばっかだけど、時間は豊かにある」みたいなことを言っていました。
これもそうなんだよね~。

時間だけじゃないけど、「足りない」って思うと足りなくなりますよね。
本当はすべて、豊かにある。本当はすべて、豊かです。

幸せのおまけ

ハワードの元奥さんが、子どもの死に瀕していたときに、隣に座っていた女性(「死」担当の女優さんが兼ねている)に「見逃さないで、その先にある幸せのおまけを」って言われるんですよね。

それは、時間が経ったあと、元奥さんが感じた「すべてのものとつながっている」という感覚のこと。

あっさり描かれていたけれど、これも真理だと思いました。
大事なものを失っても、そこには必ず学びがあり。
そして、それでも自分が生きているなら、豊かなつながりは、もっているままなんです。
私もそのことを忘れないでいたいです。

サクッと書くつもりが、見出しつけたらけっこう書けたなって感じ。
映画自体は本当にあっさりしていて、もっと深掘りできたと思うのだけれど、エッセンスを取り入れるだけならこれくらいでもいいのかなー。
私は少し物足りなかったけど、自分の中にある価値観を見つめ直すきっかけになりました。

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