2002/アメリカ合衆国/96分/監督:サイモン・ウェルズ/原作:H.G.ウェルズ/主演:ガイ・ピアース
ちまたの感想を読んでいたら、私の感想と全然違ったので、記録しておこうと思います。
アレクサンダーの目的
「死んだ恋人を生き返らせる」から「未来を救う」にアレクサンダーの目的が変わった件について、ツッコむ人が多いという意見を聞いて、「え、なんで??」と私は思いました。
ウーバー(白髪で人間体のモーロック)から「エマが死んだからタイムマシンを作れた。エマが死ななかったらタイムマシンは生まれない。エマが死ぬことが前提のタイムマシンを用いて、エマを救えるわけがない」という話をされた段階で、アレクサンダーは過去を変えられないことに気づき、「今」を変える選択をしたわけでしょ? 何も矛盾していなくない?
未来に答えを求めた理由もわからないという意見も見たのですが、あの時代の技術では「なぜ過去を変えられないのか」についての答えは得られない。タイムマシンだって自分しか完成させていない。でもタイムマシンが普通に作られる時代になれば、答えがわかるんじゃないかと思うのって、おかしくないと思うんだけど……どうなんでしょう。
まぁ結局、誰もタイムマシンを開発することなく、文明が一度滅ぶので、その線で答えを得ることはなくなります。
エマが死ぬのを1度しか見ていないのに諦めたことについても批判があるようだけど、アレクサンダーほど頭がいい人は一度で十分理解すると思うよ。同じ時間に死んだ(ように見えた)わけだし。
それでも諦めきれなくて何度も挑戦したっていいけど(そしてシュタゲになる)、アレクサンダーは科学者だから、最も効率的な方法を選んだんじゃないだろうか。
さっきアンダーラインを引いた箇所についても、学者なんだからもっと早く気づけるでしょって言われていたのだけど、気づかなかったんだよ。視野が広いようで狭いんだと思う。じゃないと「過去を変えよう」って視点にはならないと思うんだよね。いくらアインシュタインと交流があったとはいえ。
この理論が正しいとすると、結局過去を変えるのは難しいなと私も思いました。
SFだと「未来人がやってこられるなら過去は変えられる」という定義が(私の中には)あって、これも一つの正かもしれない。
でも、今回の「過去を知っているからこそ変えようとするのであれば、その過去を前提としている人物が過去に戻っても、前提の事実は変えられない」っていうのも正な気がする。
結局、人間は、「今」変わるしかない。今を変えることによってしか、未来は変えられないし、過去(の意味)も変わらないのです。
ウーバー・モーロックの謎
こいつ誰なの?????
と、100万回思いながら観ていたのですが、特に明言されていないのかしら。
あまりにもアレキサンダーに詳しすぎるので、アレキサンダー本人だとしか私には思えなかったんだけど、どうなんでしょう。
時計を盗んだのも、自分の私物が懐かしくなったのでは?
どこかの世界線で、異形の姿になって生き延びたアレキサンダーがいたのかなと思ったけど、違うのかしら。
タイムマシンの矛盾(黄色マーカーのところ)に、タイムマシンを作ってから気づいたアレクサンダーが、じゃあどうしたらいいんだって考え続けて、答えが出るまで生き延びようとしたとか……したらああなっちゃったとか……そんなことはないのかなぁ。
アレキサンダーに優しくしてくれたのも、自分の苦悩を誰よりも理解していたからでは?
などと思うのですが、彼はエロイ族の人間の夢に介入できる人物っぽいので、ただ単に目の前の人間のことを知ることができるのかもしれないですね。
受け入れるか抵抗するか
今を受け入れるか、抵抗するかっていうのは、今に満足していない人間すべての課題じゃないかと思います。
エロイ族が「これが宿命だ」ってモーロックに襲われるのを受け入れてたの、すごく怖かった。ウーバーに洗脳されていたんだろうけど。
対してアレクサンダーは、タイムマシンを作るほどに厳然と現状に抵抗する人。
でも無理やり変えようとせず、柔軟に思考を働かせることもできる人なんですよね。
ただの抵抗では、現実って変わらない気がする。
「イヤだ、やらない」みたいな抵抗をするだけじゃなくて「なぜイヤなの?」「なぜやりたくないの?」「イヤなのにどうしてその状況を選んでいるの?」っていう優しい問いかけを自分にしてあげないと変わらない気がする。そこの答えを出さずに現実を変えることはたぶんできない。
そういう意味では、現実に起こっていることの意味を、いったん受け止めて考えるのってたぶん大事。(エロイ族は疑問をもたないようにされていたから置いておくとして)疑問をもたずに何でも受け入れることには問題があるけど、イヤな出来事でもいったん「これにどんな意味が?」という視点で受け止めるのはありだと思います。というかたぶん、それをしないと違う選択肢も出てこない。
アレクサンダーの激昂が、エロイ族を刺激して、洗脳を解いてあげられたのかなぁ。
最後、助けに来てくれていましたものね。
受け入れるにせよ、抵抗するにせよ、やっぱり自分を見つめること以外には解決法はない。と、私は思う。
タイムマシンってたぶん、要らないものなんだろうなって、なんとなく思いました。
ウーバーが言っていたとおり、過去にも未来にも、今からしか行けないし、今があれば行ける。
今の連続が過去であり未来なので、今を大切にする以外に、自分の人生を豊かにする方法はない。
それがわかっているから、未来人はタイムマシンを開発しないし(理論的にはたぶんできる)、時間旅行もしないのかな。
過去を見ても意味はなく、未来を見たら面白くないじゃん? ってことなのかも。
最後、帽子を脱いで個性を獲得したアレクサンダーの親友さんもとてもよかったな。
けっこう好きな映画でした!


コメント